第7話 甦れヒーロー

戦いに敗れ傷ついたガチャマンこと柚木少年は研究所に収容された。
目覚めたのは3日後だった。

「目が覚めたかね柚木君」

「博士、僕は負けたんですか?」

「まあ〜そのことはしばらく考えるな。」

「コドモ・ドラゴンは?」

「無事じゃ、安心しろ。」

喜こぶコドモ・ドラゴンが火を噴いた。

「火を吐くようになったんですね。」

「そうらしいね」

「エンギ屋プライズは?」

「それも安心しろ、新しく作り直した。実は家を建てようと、ダンボール集めてたのでそれで作った。」

「ダンボールで家を建てるつもりだったんですか?」

「そうなんだ私の場合、博士なので社会的な地位は高いが、これといった収入がなく貧乏なんだ。」

「社会的な地位もないでしょ!インチキ博士。」

「ダンボールハウスだからって馬鹿にするな。計画は2世帯住宅だぞ。」

「2世帯住宅のダンボールハウスなんか見たことないです!」

「まあ、エンギ屋プライズの材料が十分あったってことだ。しかも今度のエンギ屋プライズはすごいぞ。」

「なにがですか?」

「同じ黄色ナンバーだが、軽ではなく原付二種になった。」

「なんで?」

「維持費が安い。原付と税金が200円しか変わらない。自賠責も同じ金額だし、ファミリーバイク保険でOKだ。その上、制限速度も30キロ以上出してもよいし、2段階右折もしなくていいぞ」

「関係あるんですか?空飛ぶんですよエンギ屋プライズは?」

「交通ルールは守らなあかん」

「分かりました、、ところで、新しいアイデアは?」

「いや、しばらく待て。体を治すのが優先だ。私も反省しているんだ。」

「実は新しいアイデアなんかないんでしょ。」

「いや、ちゃんとある。また今度また話そう。」

一週間後、柚木少年の体はほぼ完治した。

「だいぶ体は治ったようだね。約束どおり新しいアイデアを話そう。その前に紹介したい人がいる友人のケーキ屋さんだ。」

「始めまして、柚木君のためにケーキを作ってきたんだ。」

ケーキの箱には「正義のケーキ」の文字。

「正義のケーキ。」

「いやセイギじゃないよ、正義って書いてマサヨシって読むの。僕の名前。」

「またか!そのパターン止めませんか!」

「箱を開けてみろ。」

中にはどら焼きのような形をしたケーキが入っていた。ケーキにはガチャ饅ケーキの焼印。

「実は銘菓ガチャ饅も彼が作ったお饅頭だ。今回は新作ケーキだ。ガチャマン景気を知っているか。このガチャ饅ケーキはその名の通り、ガチャマン景気のパワーが溢れているケーキだ。これを食べるとガチャマンのパワーはバージョンアップしスーパー・ガチャマンに高度成長が可能だ。」

「これで赤いUMAに負けないようになるんですね。」

「そのとおり。詳しくスーパー・ガチャマン変身システムについて説明しよう。スーパー・ガチャマンスーツは繊維できている。つまり織物なのだ。今やロボットは機械ではなく繊維を織ってできる時代なのだ。」

「嘘?」

「嘘ではない、天才の私が発明したのだから間違いない」

「マジ?博士が発明したんですか?」

「そうだ、戦闘用のコンピューターも染めてある」

「染める?」

「今やコンピューターは生地の染め物だ。そしてOSや戦闘用の各プログラムは布上にプリントした。」

「よく分かりませんが、博士は実は天才だったんですね。」

「科学の進歩とは私自身の進歩といっても過言ではない、これを特殊な転送装置で届ける」

「で、どうやって変身するんですか?」

「ガチャマンケーキを食べると、その場所にスーパー・ガチャマンスーツが更衣室と一緒に転送されてくる。そこで着替えてほしい。」

「え?今なにって言いました?」

「いや、だから、、更衣室を転送するので着替えてね」

「なんじゃそれ!」

「だって、いっぱい発明しすぎて最後はいいアイデア浮かばなかったんだもん」

「やっぱり博士はバカだったんだ、、」

「着替えているときは無防備になるので気をつけて」

「そんなアホな!」

「出来るだけすばやく着替えてほしい」

「じゃあ、なんのためにケーキを食べるんですか?」

「転送先の座標を示すのと、着替えが疲れるので腹ごしらえのためだ」

「え〜!」

「でも美味しいよ」と二人の会話を聞いていた正義おじさんは笑った。

さて正義のケーキでガチャマンはリベンジを果たすことができるかのか。

第8話 につづく。

最終更新日:2011/02/06